SCCJヒストリックフェスティバル最終戦

                         1997年11月3日


予選開始5分前、支度を整えマシンに乗り込むところ。さすがに
予選がシェイクダウンになるとは思ってもみなかったので、慎重
にドライブするつもりであった。                   

 マシンは新車同様に仕上げてあるし、徐々にペースアップして
いけば問題がおこっても対処出来る程度で済むはずであった・・。

ピットアウトして1周めのメインストレートを駆け抜けているが、
特に問題はなさそうである。この時はそう信じていた。    

 そして悪夢の3周目、第2ヘアピンの立ち上がりでリアが不自然に
滑るような感覚が出たと思った瞬間にマシンはアウト側のスポンジバ
リアに向かってアクセル全開のまま突っ込んでいった。       
 マシンはなんのコントロールも効かないままでできることといったら
アクセルをゆるめるだけであった。                   

 クラッシュする時は時間が長く感じられるものであるが、この時もマ
シンの制御方法をいくつか考える余裕があったが、実際にはなにも
できずにスポンジバリアに突っ込んでいた。              
 すぐ後ろについて走っていたチームメイトによると、コーナーを立ち
あがって加速したと思ったらそのまま直角にマシンが飛んでバリアに
突っ込んでいった、とのことであった。                  

 この時点では当然原因もわからなかったのであるが、アクセル全開
とはいえコーナーの立ち上がりであったためにスピードがそれほど乗
っていなかったことと、スポンジバリアが切れる手前であったことが幸
いし、マシンにダメージを負ったもののケガがなかったのがせめてもの
慰みである。                                 

ローダーで運ばれてピット裏のパドックにおるされるロータス59B
フォード。右リアタイヤが変な方向にたれ下がっている。     

やはり、右リアの足回りに何らかの異状があったためと判断し
チェックをしてみたところ、意外な原因が発見された。    
 マシンの後ろにいる外国人は今回ロータス59をレストアした
アメリカの業者の担当者である。自分のレストアしたマシンデビ
ューとなるレースを観戦にきて、目の前でクラッシュするのをみ
てどのような思いだったろうか。ましてや、自分のレストア(仕事)
のエラーによってである。                      
 彼の右隣にいる白い服の男性は通訳である。         

破損してしまったフロントラジエターまわりを確認するレストア
担当者。彼もアメリカではインディカーをレストアしてレースに
出場しているということで、コントロール不能のクラッシュの恐
さは自分もよく知っている、大変申し訳ないとさかんにあやま
っていた。                             

 破損した右リアのアップライト。                 
クラックが入っていたあとが認められたのでパワーに堪え切れ
ず一気に破損したのであろう。                  
 この部分はマグネシウム合金で30年という年月で内部から
腐食してしまっていたと思われる。対策は・・・・ない。こうなる
前に新品交換するしかないのである。              
マグネシウム合金は非常に軽く強い合金であるが、耐腐食性
に難点がある。                           


 こうして、ロータス59Bフォードのデビューレースは3周目で
クラッシュ、決勝不出場ということになった。          
 ちなみに1周だけ計測出来たタイムは1分07秒で予選7番
手であった。